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中小企業庁が事業再生M&Aの指針と登録制度を検討、売り手も買い手も今から備えたい点

中小企業庁が事業再生M&Aの指針と登録制度を検討、売り手も買い手も今から備えたい点を象徴するイメージ写真

ニュースの概要

中小企業庁が、経営が傷んだ企業を対象にした事業再生のM&A(合併・買収)について、進め方の指針を整える方向で検討に入ったと、ニッキンONLINEが伝えている。あわせて、再生型M&Aを手がける支援者を対象にした登録制度の創設も視野に入れているという。後継者不在の会社を引き継ぐ承継型と比べ、再生型には債務の整理、取引先や従業員への配慮、資金繰りの期限といった固有の難しさがある。仲介の手数料や説明のあり方が問われてきた中で、再生の場面にも一定のルールを持ち込もうとする動きといえる。ただし制度の細部はこれからの議論に委ねられており、現時点で確定していない点には注意が必要だ。

引用元: 中企庁、事業再生M&Aに指針 登録制度の創設検討(ニッキンONLINE)

分析・見解

黒字企業向けの指針だけでは埋まらなかった空白

中小企業庁は2020年に中小M&Aガイドラインを策定し、その後、仲介業者やアドバイザーを登録する支援機関登録制度も動かしてきた。ただ、これらが主に想定してきたのは、黒字でも後継者がいない会社の引き継ぎである。

経営が傷んだ会社の売却は、同じM&Aでも性格が違う。借入金をどう扱うか、事業だけを切り出すのか、取引先や従業員をどう守るのか。しかも資金繰りの期限が迫っており、ゆっくり買い手を探す余裕がない。承継型の物差しをそのまま当てはめると、現場では判断に迷う場面が多かったはずだ。背景には、コロナ禍の資金繰り支援が一巡し、倒産件数が増加基調にあることもある。廃業や清算ではなく、事業ごと次の担い手へ渡す道が求められている。

登録制度の狙いは再生に慣れた人の見える化

登録制度の議論で見落とせないのは、売り手が置かれた立場である。追い込まれた経営者は交渉力が弱く、提示された条件を断りにくい。助言する側の説明が不十分でも、後から気づくのは難しい。

そこで、再生案件を扱う支援者を登録し、守るべき行動の基準を示せば、売り手は相談先を選びやすくなる。弁護士、公認会計士、再生系のファンド、地域金融機関など、担い手は幅広い。資格の有無ではなく、案件の進め方で信頼を測る仕組みになれるかが問われる。

手法の違いを整理できるかが指針の価値を決める

再生型M&Aには複数の道がある。株式を丸ごと譲る方法、事業だけを譲る方法、新会社に優良部門を移して旧会社を整理する方法(第二会社方式)などだ。どれを選ぶかで、債権者への返済額も、従業員の雇用も、許認可の引き継ぎも変わる。

指針が、私的整理(=裁判所を使わず、債権者との話し合いで進める再建)と法的整理の使い分け、スポンサー(=再建を支援する出資者)の選び方、価格の決め方まで踏み込めば、実務の拠り所になる。逆に抽象的な心構えにとどまると、現場の迷いは残る。

形だけの登録に終わらせない工夫が必要

懸念もある。登録の基準が緩ければ、肩書だけが増えて安心材料にならない。逆に厳しすぎれば、小規模案件を引き受ける担い手が減り、地方の小さな会社が置き去りになる。承継型では、仲介手数料の高さや買い手の探し方をめぐる苦情が相次ぎ、ガイドラインの見直しにつながった経緯がある。再生型で同じ道をたどらない設計が望ましい。

手数料の透明性、利益相反(=売り手と買い手の双方に有利な顔をすること)の開示、案件の実績報告といった項目を、どこまで求めるかが焦点になるだろう。なお、制度の詳細は検討段階であり、今後の議論で変わる可能性がある。

ビジネスへの影響

経営者は資金が尽きる前に動き出す

再生型の売却は、時間が価値を左右する。資金繰りが持つ数か月の間に、買い手探し、価格交渉、債権者の同意を終える必要がある。指針や登録制度ができても、動き出しが遅ければ選択肢は狭まる。

目安として、返済の猶予(リスケジュール)を考え始めた段階で、地域の中小企業活性化協議会(=公的な再生相談窓口)や顧問の会計士に話を持ち込みたい。直近3期分の決算書、借入一覧、取引先別の売上表は、先に整えておくと交渉が速い。

買い手は引き継ぐ範囲を先に線引きする

買う側にとって、安く買えることは魅力だ。しかし見えない負債を抱える危険がある。未払いの残業代、取引先への保証、リース契約などが典型である。会社ごと買うのか、事業だけ買うのかを最初に決め、契約書で範囲を明記する。許認可や主要取引先の同意が得られるかも、価格を決める前に確かめたい。価格は収益力だけでなく、再生後に必要な設備投資や人員の手当てを差し引いて見るとよい。

支援者と金融機関は説明の記録を残す

支援する側は、将来、登録の要件に手数料の開示や利益相反の説明が入る可能性を見込み、今から面談記録と提案の根拠を残す運用にしておくと備えになる。現行の中小M&Aガイドラインに沿った対応を再生案件にも広げておけば、登録が始まってから慌てずに済む。

地域金融機関には、債権者として売却に同意するかどうかの判断が求められる。売却額が債権額を下回る場合でも、清算より回収が大きいことを数字で示せれば、合意は得やすい。

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