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屋外広告のヒットが12.9億円で2社買収、大手傘下の事業を引き継ぐ買い手の狙いを読み解く

屋外広告のヒットが12.9億円で2社買収、大手傘下の事業を引き継ぐ買い手の狙いを読み解くを象徴するイメージ写真

ニュースの概要

屋外広告を手がけるヒットが10月15日、SHIFTの孫会社にあたるナディアとxbsの全株式を取得し、子会社にすると発表した。取得価額は2社合計で12億9,000万円で、アドバイザリー費用などを含めた概算総額は13億5,500万円になる。契約の締結は同日に済ませており、株式の取得は10月30日に実行する予定だ。ヒットは、屋外広告の事業と相乗効果が見込めるクリエイティブ制作やクロスメディア展開などの周辺サービスを厚くする狙いを示している。大手グループの傘下にあった事業を、業界の近い企業が引き取る形の取引である。

引用元: ヒット、SHIFT傘下のナディアとxbsを約12.9億円で子会社化(M&A Times)

分析・見解

大手の孫会社が、業界の近い買い手に移る狙いを探る

今回の特徴は、売り手がSHIFTグループ、つまり大企業の傘下にある会社だという点だ。大企業が事業の一部を切り離して外に出す取引は、カーブアウト(=事業の切り出し)と呼ばれる。売り手にとっては、本業に経営資源を集める手段になる。買い手にとっては、すでに動いている事業と人材を、ゼロから育てるより早く手に入れられる機会になる。

ヒットの狙いは、屋外広告の周辺にあるクリエイティブ制作やクロスメディア展開の強化だ。看板を掲出するだけの会社から、企画や制作、他媒体との組み合わせまで一括で請け負う会社へ。その足場を、買収で一気につくる発想である。

12.9億円という価格を、取引費用まで含めて見る

取得価額12億9,000万円に対し、概算総額は13億5,500万円である。差額の6,500万円は、アドバイザリー費用などの取引コストにあたる。価格の約5%が、仲介や調査、契約整理のために使われる計算だ。小さな案件でも、買収の費用は価格だけでは終わらない。

なお2社合計の価格なので、1社あたりは平均で6億円台半ばとなる。同じ金額でも、利益の水準や顧客の質で割安にも割高にもなる。数字を見る前に、何に対して払うのかを言葉にしておきたい。

契約から実行まで15日という短さが示す準備の厚み

契約の締結日は10月15日、株式の取得は10月30日である。契約から実行までは15日と短い。この短さは、実行前に必要な確認がすでに終わっていたことをうかがわせる。買い手は財務や契約関係を調べる買収監査(デューデリジェンス)を済ませ、売り手は従業員や取引先への説明の段取りを組んでいたはずだ。

一方で、契約後の15日で決まるのは法的な所有者だけである。現場の人がどう動くかは、実行日から始まる。統合の準備を実行日の前に済ませられるかで、最初の数か月の混乱は大きく変わる。

勝負は統合後の最初の半年、人と顧客をどう守るか

M&Aの成否は、契約書より統合作業で決まりやすい。親会社が変わると、取引先の与信管理、システム、社内ルールがまとめて動く。大手グループの傘下にいた会社は、これまで親会社の基盤に頼っていた管理部門や情報システムを、自前で持つ必要が出る場合がある。ここを見落とすと、統合後に費用が膨らむ。

ここで強調したいのは、買い手が本当に評価しているのは財務の数字より、人と顧客との関係だという点だ。クリエイティブ制作は人に価値が宿る仕事で、制作者が辞めれば買収の価値は下がる。営業と制作が別の会社に分かれていた事業が一つの屋根の下に入る場合は、顧客への提案を一本化できて初めて相乗効果が出る。

ビジネスへの影響

買い手側が今日から確認できる三つの点

自社の本業に近い周辺サービスを持つ会社が売りに出ているなら、価格の前に三つを確かめたい。一つ目は、その事業が親会社への依存なしで回るか。二つ目は、中心となる人材が残るか。三つ目は、既存の顧客に新しいサービスを実際に売れるか。この三つに答えが出せれば、価格の議論はぐっと現実的になる。

資金計画には、価格の5%前後の取引費用を別枠で見込んでおくとよい。今回、価格と概算総額の差が約5%だったことは、一つの目安になる。

売り手側が事業承継で押さえたい準備

今回は大企業どうしの取引だが、売り手の準備という点は中小企業の事業承継にも通じる。事業を切り出して売るには、損益や契約、人員を整理しておく必要がある。社長個人の信用や口約束に頼る取引が多いほど、買い手は価格を下げるか、見送る。

売却を考え始めたら、まず帳簿を事業別に見られる形にしたい。取引先ごとの売上、主要な従業員の役割、外部に任せている業務を一枚の表にまとめるだけでも、交渉の力になる。

統合計画は契約前に書き、実行日に動かす

契約から実行までの短い期間を使い、取引先へのあいさつの順番、従業員への説明、請求や給与の流れの確認を済ませておく。詳しい進め方はPMI(=買収後の統合作業)の解説も参考になる。最初の100日で何を変えず、何を変えるかを先に決めておくと、現場の不安を抑えやすい。給与や評価の仕組みを急に変えないと約束することは、人材を残すうえで効果が大きい。

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